映画レビュー:ムーンライト・シャドウ ― 愛と喪失をめぐる静かな祈り

公開年/監督/ジャンル:2021年/エドモンド・ヨウ(Edmund Yeo)/ドラマ・ファンタジー

作品概要

吉本ばななの短編集「キッチン」に収録された名作短編「ムーンライト・シャドウ」を、マレーシア出身の監督エドモンド・ヨウが映画化したラブストーリー。主演は小松菜奈、恋人・等役に宮沢氷魚。原作が持つ「喪失と再生」「愛の余韻」という普遍的なテーマを、美しい映像と詩的な静けさで描き出した。人を失う痛みと、それでも前を向いて生きる強さを静かに問う。

あらすじ

さつき(小松菜奈)と等(宮沢氷魚)は、導かれるように出会い恋に落ちた。等の弟・柊(佐藤緋美)とその恋人・ゆみこ(中原ナナ)を含めた4人は、共に穏やかで幸せな時間を過ごしていた。ある夜、「満月の終わりに死者と再会できるかもしれない」という不思議な現象“月影現象”について語り合う。しかし、ある日突然、等とゆみこが事故で命を落としてしまう。愛する人を失い深い悲しみに沈むさつきと柊。そんな中、さつきは不思議な女性・麗(吉本ばなな作品における象徴的存在)と出会い、少しずつ日常と心の平穏を取り戻していく。月明かりの夜に訪れる幻想的な再会が、さつきに新たな希望を灯す――。

作品の魅力

本作の最大の魅力は、吉本ばななの原作が持つ“喪失の優しさ”を映像で繊細に再構築している点にある。監督エドモンド・ヨウは、現実と幻想のあわいを柔らかな光で描き出し、観る者の心に静かな余韻を残す。小松菜奈の表情は、言葉にならない悲しみと再生への希望を内包し、観客をさつきの心へと深く導く。色彩と光の使い方も秀逸で、夜明けや満月の光が「心の再生」を象徴する。単なる恋愛映画ではなく、“喪失をどう生きるか”という普遍的テーマをそっと照らす作品である。

音楽について

音楽は静かに物語を支え、感情を過剰に煽らずに深く寄り添う。ピアノとストリングスの旋律が月光のように淡く響き、失われたものへの想いと、そこから生まれる再生の兆しを美しく描き出している。音の“余白”を生かした構成が、原作の詩的世界観と完璧に調和している。

こんな人におすすめ

  • 吉本ばななの原作「ムーンライト・シャドウ」や「キッチン」が好きな人
  • 静かな感情描写や余韻のある映像美を味わいたい人
  • 愛する人を失った後の再生や希望をテーマにした作品に惹かれる人
  • 小松菜奈や宮沢氷魚の繊細な演技を堪能したい人

まとめ

「ムーンライト・シャドウ」は、愛と死、そして再生という普遍的なテーマを、静謐な語り口で描いた心の祈りのような映画である。喪失の痛みの中にも確かに存在する“光”を、月明かりの下で見出すその瞬間。誰かを失ったことのある人ならきっと、この物語の静かなぬくもりに救われるだろう。です。

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