映画レビュー:フェイブルマンズ ― 映画と家族、その交錯の物語

公開年:2022年

監督:スティーヴン・スピルバーグ

ジャンル:ドラマ/自伝的作品

作品概要

『フェイブルマンズ』は、スティーヴン・スピルバーグ監督が自身の少年期と家族との関係を自伝的に描いた作品です。監督自身が脚本にも携わり、若き日の映画への憧れ、父母との確執、成長する過程での“映画作り”との向き合いを映像化しています。映画というメディアへの愛と、家族というリアルな営みが交錯する中で、観客に深い共感と考察を促す物語です。

あらすじ

1950年代、ニュージャージー州で暮らし始めた少年サミー・フェイブルマン(Gabriel LaBelle)は、ある晩両親に連れられて映画を観に行く。その中で上映された大型映像の列車事故シーンに衝撃を受け、彼は父の8 mmカメラを使い、模型列車をクラッシュさせては映像を撮るという“映画ごっこ”に没頭していく。やがて一家はアリゾナ州へ転居し、少年の映画への情熱は高まる一方で、母ミッツィのかつての演奏家としての夢と、父バートの技術者としての合理主義の間で家庭は揺れ動く。そして少年がカメラを握り続けられない事態、家族の秘密や親の愛情の齟齬が明らかになっていく。映画と人生の境界線に苦悩しながら、サミーは映画というレンズを通じて“自分自身”と“家族”を見つめ直す旅へと出る。

作品の魅力

本作の魅力は、映画を愛する者として育った監督自身の記憶を反映しつつ、普遍的な“家族/夢/葛藤”というテーマを巧みに描いているところにあります。サミーが模型列車を破壊して映画を“再現”しようとするシーンは、まさに映画作家としての原点を象徴する瞬間であり、映像そのものが彼の内面を映し出しています。

監督スピルバーグはこれまで手掛けたエンターテインメント作から一転し、静謐な語り口で“映画と家族”の関係を掘り下げています。母ミッツィを演じるミシェル・ウィリアムズの演技には、夢を捨てて家庭に入った女・母親としての葛藤が深く宿っており、それが“映画を撮る息子”という視点から浮かび上がる。父バートを演じるポール・ダノも技術者として生活を支える立場ながら、息子の夢を理解し切れないまま距離を感じさせる存在感を放ちます。

音楽について

音楽はジョン・ウィリアムズが担当し、弦楽器やピアノを主体に構成されたスコアが、家族の情感と映画への情熱を静かに支えています。冒頭の列車模型のシーンから既に音楽のテーマが潜んでおり、観客は“映画を見る視点”と“映画を撮る視点”の交錯を音で感じ取ることができます。

こんな人におすすめ

  • 映画を観ること、撮ることに興味がある人
  • 家族の絆や葛藤、成長を描いた作品に惹かれる人
  • スティーヴン・スピルバーグ監督の新しい挑戦を追いたい人
  • 静かな語り口で深く考えさせられる映画体験を求める人

まとめ

『フェイブルマンズ』は、映画作りという行為を通じて、自らの家族と夢と向き合う物語です。列車の模型の破壊から始まるサミーの旅路は、やがて現実の揺らぎと向き合う深い経験へと転じます。映画を愛する者にとって、その思い出はただの映像ではなく、自分自身と他者を映す鏡となるでしょう。家族への愛情と映画への憧れ、そして成長の痛みを丁寧に描いた本作は、スピルバーグ監督のキャリアにおいても重要な一作といえます。

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