公開年：2023年
監督：宮﨑駿
ジャンル：アニメーション／ファンタジー
作品概要
『君たちはどう生きるか』は、宮﨑駿監督が2013年の「風立ちぬ」以来10年ぶりに手掛けた長編アニメーションで、スタジオジブリ制作の最新作です。少年期の宮﨑監督自身の記憶と重ね合わせた自伝的要素が散りばめられた作品で、戦前の日本を舞台に、少年・眞人（まひと）の成長と家族との絆、そして生と死の境界が織りなす幻想的な物語を描いています。原作・脚本も宮﨑監督が担当し、吉野源三郎の著書『君たちはどう生きるか』のテーマを現代に蘇らせた傑作です。
あらすじ
母親を火事で失った少年・眞人は父・勝一とともに東京を離れ、「青鷺屋敷」と呼ばれる広大な屋敷に引っ越してくる。亡き母の妹で新たな母親となった夏子に複雑な感情を抱きつつ、転校先の学校でも孤立した日々を送る眞人。ある日、不思議な青サギが現れ、眞人は生と死が渾然一体となった幻想世界へと導かれる。眞人はそこで、自らの存在や人とのつながり、命の重さを学んでいく。
作品の魅力
本作の魅力は、宮﨑監督ならではの繊細な筆致と幻想的なビジュアル表現にあります。生と死、過去と現在が交錯する描写は、観る者に深い感慨をもたらします。また、主人公の眞人の内面を丁寧に描くことで、観客は彼の成長と葛藤に自然と共感し、人生の問いに向き合う体験を得られます。
家族や身近な人々との関係性も見どころで、父・勝一や新しい母・夏子との関係が物語の軸となり、個々の選択や思いが人生に与える影響を描き出しています。友情や喪失、そして自己発見といったテーマが自然に物語に溶け込み、感動的な物語体験を提供します。
また、原作から受け継がれた「自分はどう生きるべきか」という普遍的なテーマを、宮﨑監督のオリジナル解釈で現代的に表現している点も特筆すべきです。子どもだけでなく、大人にとっても考えさせられる作品であり、人生や価値観について深く問いかける力があります。
音楽について
音楽は久石譲が担当し、幻想的かつ叙情的なスコアが物語の情緒を支えています。繊細なメロディが眞人の心の動きに寄り添い、観客を物語世界に引き込みます。主題歌「地球儀」（米津玄師）も映画のテーマと完璧に調和しており、鑑賞後も余韻として心に残ります。
こんな人におすすめ
- 宮﨑駿監督の新作を見たい人
- 少年の成長や家族の物語に心動かされる人
- 人生や生き方について考えたい人
- 幻想的なアニメーションで深い感動を味わいたい人
まとめ
『君たちはどう生きるか』は、少年の成長と家族の絆、幻想的な世界観を通して、人間の生きる意味や命の重さを描いた作品です。宮﨑監督の集大成ともいえる映像美とストーリーテリングは、鑑賞者に深い感動と考察をもたらします。
幻想的でありながらも普遍的なテーマを持つこの映画は、子どもから大人まで、多くの人にとって心に残る作品になるでしょう。
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