映画レビュー:Pure Japanese ― 暴力の果てに見つけた“日本人”という問い

公開年:2022年/監督:松永大司/ジャンル:サスペンス・ヒューマンドラマ・アクション

作品概要

『Pure Japanese』は、ディーン・フジオカ主演、松永大司監督による衝撃のサスペンス・アクション。表向きは控えめなアクション俳優として生きる男が、暴力と自己喪失の渦の中で“純粋な日本人(ピュア・ジャパニーズ)”とは何かを問う異色作だ。物語は、現代日本が抱える民族的アイデンティティ、排他性、暴力の美学を織り交ぜながら進行する。表層のアクションにとどまらず、人間の内側に巣食う闇を暴き出すような作品である。

あらすじ

主人公・立石(ディーン・フジオカ)は、かつて映画スタントとして名を馳せた男。しかし今は引退し、山奥で孤独に暮らしていた。そんなある日、彼は地元の少女・アユ(蒔田彩珠)と出会う。素朴で純粋なアユの存在は、長年眠っていた立石の心を少しずつ解かしていく。だが、土地の利権をめぐる暴力団の抗争に巻き込まれ、彼の過去が再び顔を出す。封じ込めたはずの“血の記憶”が蘇り、立石は再び暴力の世界へと足を踏み入れていく――。

作品の魅力

『Pure Japanese』は、暴力を単なる娯楽として描かない。松永監督は、暴力の“美しさ”と“醜さ”を同時に提示し、人間がそれをどう受け入れるかを観客に委ねる。アクションは生々しく、息を呑むような緊迫感に満ちているが、その根底には「何のために戦うのか」という哲学的な問いがある。ディーン・フジオカの演技は静かでありながら、内に秘めた怒りと哀しみを感じさせる圧倒的な存在感。特に後半の暴力シーンは、彼の身体表現と表情の変化だけで観客を黙らせるほどだ。

少女アユを演じる蒔田彩珠の演技もまた印象的だ。彼女の純粋さと恐れの混じった眼差しが、タイトルに込められた“Pure”の意味をより際立たせる。無垢であることは強さなのか、あるいは脆さなのか――。この対比が、作品全体を深く陰影のあるものにしている。日本文化の中に潜む“血の記憶”や、“純粋”という概念の危うさを描いた点でも極めて異彩を放つ。

音楽について

音楽は岩代太郎によるもの。和楽器と電子音を融合させたサウンドスケープが、作品のテーマである「伝統と現代の交錯」を見事に体現している。静寂の中に響く尺八や太鼓の音が、暴力の予兆を感じさせ、緊張感を高める。ラストに流れる旋律は、破壊の果てに訪れる一瞬の救いを象徴しており、観終えた後にも心に残る。音の余白が語る“無言の感情”が、この映画の美学を完成させている。

こんな人におすすめ

  • 暴力と人間性の境界を描く深いドラマを観たい人
  • 日本文化・アイデンティティの再考に興味がある人
  • ディーン・フジオカの繊細かつ狂気的な演技を堪能したい人
  • アート性とエンタメ性を両立した作品を求める人

まとめ

『Pure Japanese』は、観る者を静かに、しかし確実にえぐる。暴力を通して人間の根源にある“純粋”とは何かを描くこの映画は、観客に重い余韻を残す。立石が最後に見つめたものは、血塗られた現実の中にあるわずかな光――それこそが「生きる」ことの証だった。激しさと静けさ、破壊と再生、そのすべてを一つの映像詩としてまとめ上げた本作は、間違いなく現代日本映画の中でも異彩を放つ傑作である。

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