2025年/監督:小池健/ジャンル:アクション・ノワール・アニメーション
作品概要
『LUPIN THE IIIRD 銭形と2人のルパン』は、人気シリーズ『ルパン三世』のスピンオフでありながら、 これまでのシリーズとは一線を画すダークで重厚な世界観が特徴の劇場アニメだ。 『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』『峰不二子の嘘』などと同様に、小池健監督によるハードボイルド路線の第4弾として制作され、 原作のユーモラスな魅力と、映画的リアリズムが融合した新たな“ルパン像”を提示している。
あらすじ
舞台は闇社会に支配された架空の都市。ICPOの銭形警部は、ある事件の背後にルパン三世の存在を疑っていた。 だが捜査を進めるうちに、同じ「ルパン」を名乗るもう一人の男が現れる。 天才的な頭脳とカリスマ性を持ちながらも、冷徹で暴力的な“もう一人のルパン”。 二人のルパンの存在が明らかになるにつれ、銭形は次第に“正義とは何か”という問いに追い詰められていく。 最後に彼が見た真実は、善悪の境界線が溶け合うような衝撃的な結末だった。
作品の魅力
これまでのルパン三世シリーズが持っていた軽快さやコメディ要素はほとんど排除され、 代わりに noir(ノワール)調の映像とリアルな暴力描写が前面に出ている。 小池健監督ならではのシャープな線画と影の強調されたビジュアルは、まるで実写映画のような緊張感を生み出す。 特に銭形とルパンが対峙する夜の廃工場のシーンは、光と闇のコントラスト、銃声の間の“間”の使い方が完璧で、 一瞬一瞬が絵画のように美しい。 ストーリーの主軸は“正義と悪の共存”というテーマだが、作品全体にはシリーズ全体へのオマージュも散りばめられており、 ファンであれば過去作とのつながりを発見する楽しみもある。
音楽について
音楽は大野雄二のメインテーマをベースに、新たに鈴木佐智雄がサウンドデザインを担当。 ジャズ、ロック、そして重厚な電子音が混ざり合い、これまでにないサスペンス感を醸し出している。 特にクライマックスのカーチェイスにおけるトランペットとベースの掛け合いは、銭形とルパンの“宿命のデュエット”とも言える演出で、 観る者を一気に物語の中心へ引きずり込む。
こんな人におすすめ
- ルパンシリーズの新しい一面を体験したい人
- ハードボイルドやノワール調の物語が好きな人
- 銭形警部というキャラクターの深層に興味がある人
- スタイリッシュなアニメ表現と緊張感ある演出を味わいたい人
まとめ
『LUPIN THE IIIRD 銭形と2人のルパン』は、従来のルパン三世像を大胆に再構築した挑戦的な作品だ。 正義を象徴してきた銭形と、自由を象徴してきたルパン――その二人を並列に描くことで、 本作は“善悪の曖昧さ”を見事に可視化している。 スタイリッシュでありながらも人間臭く、終盤の静かな余韻は長く心に残る。 ルパンシリーズをすべて観てきた人にこそ、この作品が持つ新鮮な衝撃を味わってほしい。
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